日本妙好人協会

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金言金行集
2021年6月4日
 
 ●あさましや、親のごをんを、
 
  忘れてくらす、

  どこからか、わしや しらねども、

  御催促、きいて見れば、

  なむあみだぶの、ごさいそく。

  また来たよ、浄土から。



 ●御法(みのり)の風わ、見ること出来ぬ、

  風のたよりで、御法きく。

  御法の風わ、仏のなかから。



 この仏から吹き来る風の中に包まれた才市は、

浮世にも、地獄にも、いとま乞いして、

 さてその日常底は、どうなったというと、


 ●唱えるも、あみだぶつ、

  稼業するのも、あみだぶつ、

  ままをたべるも、あみだぶつ、

  みちをあるくも、あみだぶつ、

  世界のものわ、あみだぶつ、

  悉(ことごと)く あみだぶつのもの、

  さいちも あみだぶつのもの

  あみだぶつも才市のもの、

  何もかも、海も潮も皆一つ。

  ご恩うれしや、

  なむあみだぶつ。




  妙好人 浅原才市集 鈴木大拙編著より
 

金言金行集
2021年6月7日
 こうなってくると、御法の「なむあみだぶつ」のみ

が、天地乾坤けんこん【あめつち(全世界)

すなわち天地のこと】宇宙万物を、残すところなく、

包みこんで、何もかも、唯一面の「御法」

そのものになる。

 才市がまず「みのり」に擒(とりこ)にせられた

とすると、彼に対して存在する一切が、また

「みのり」になるより外ない。

 才市は如何(いか)に自分自身が「それ」で

あるかを左の如くにいう。

 これは実に、東洋思想の頂点と考えられる。

  云く、



 ●なむあみだぶを戴くわ、

  親の心のなむあみだぶを

  きかするも、なむあみだぶつ、

  きくも、なむあみだぶつ、

  きくも貰うたも、なむあみだぶつ、

  がてんしたのも、なむあみだぶつ、

  がてんさせたも、なむあみだぶつ。

  なむあみだぶに、うたがい、とられて、

  才市、疑いどこにい〔つ〕た。

  六字のなかで、ごをんよろこぶ。

  ごをんうれしや。

  なむあみだぶつ、なむあみだぶつ。



   浅原才市集 鈴木大拙編著より

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