金言金行集 |
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2020年7月21日 |
兎も角きいて見ましやうと思ひ「御同行 (ごどうぎょう)さん御同行さん」と呼びましたら、 パツチリお目を開(ひら)かせられ、南無阿彌陀佛 南無阿彌陀佛と御念仏を稱へられた。 「一寸(ちょっと)御尋ね申上げます、私は後生が 苦になつて貴方(あなた)の御育てを蒙らうと、 此度(このたび)わざわざ尋て参りたものであり ますが、お見受け申しますれば實に御大病の 御様子サゾお苦しう御座いましやう。 いよいよ其身(そのみ)におなりなされては再び 御全快は出来ますまいが、今いよいよ出て行か にやならぬが と思ひなされたら、先は明るい もので御座いますか、暗いもので御座りますか」 と御尋ね申し上げたら。 御心に叶はせられたと見えて、九死一生の大 病人が、何處の御方か知らねども、マア御免なさ れ、いよいよ此(この)場になつて後生が明るいか、 暗いかとは、よう云うてくれた よう云うてくれた、 病氣の様子や氣分の善悪(よしあし)は尋ねて くれる御方はあるが、此私の後生を案じて、行末 (ゆくすえ)一つをきいてくれる人はない、 南無阿彌陀佛 南無阿彌陀佛」と、只 如来聖人の 御催促と聞いて、我身(わがみ)の仕合せを喜んで 御座る・・・・ 和兵衛様(わへゑ)がニツコリ笑うて 「後生は明かるいかと云へば明かうもなし、暗い かと云へば暗らうもなし、唯病氣が苦しい一つより ないわいの、若しも明るい暗いを、此方(このほう) で見にやならぬやうな ことなら、無になる御方が あるでのう、南無阿彌陀佛 南無阿彌陀佛 南無阿彌陀佛」と、サモ嬉しげに念佛を稱へて 御座る。 この御一言(ごいちごん)千萬両の價値がある。 信者めぐり 三河 野田村の和兵衛(わへゑ)さん |
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金言金行集 |
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2020年7月22日 |
「この御大病の中(うち)に念佛稱へなさるは、 御恩を思うて稱へなさるか」 と政四カ(まさしろう)様が尋ねたれば。 其時(そのとき)病人 御聲(おこゑ)を張り上げ 「政四カ様(まさしろうさん)政四カ様 往生は 佛仕事ときかせて貰ふ上からは、機の上のことは 聞かぬでも よひわいの!」 此(この)御答が何とも云へぬ嬉しかつた。 我れの思ひやうで定まる往生でなくて、まるまる 佛仕事だけで、永劫の仕合(しあはせ)を 蒙(かうむ)らせて頂くと云ふ、御約束を 明(あきら)かに御知らせ下された。 妙好人 三河の和兵衛(わへゑ)さん |
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